Naughty Dogがチャレンジするリ

2010年11月にカプコンからの退社を電撃発表した、稲船敬二氏. 今年に入ってコンセプトとインターセプトというふたつの会社を設立したことを発表し、ニコニコ生放送への出演や、講演、著書の執筆など、活動を活発化させてきた. そして、10月5日に行われたマーベラスAQLの発表会で、ついにニンテンドー3DS向けのタイトル『 海王 』と、マーベラスAQLが主導するMobage向けの企画"スーパークリエイターズ"のタイトルとして、スマートフォン向けソーシャルゲーム『 J.J.ROCKETS(仮) 』を発表した. いま稲船氏はなにを考え、どこに向かおうとしているのか? 週刊ファミ通11月3日号(10月20日発売)に掲載したインタビューの完全版をお届けする. 30人で大手メーカーとも戦う、そのための"コンセプト" ――まずは、ふたつの会社で実現したいことをお聞かせください. 稲船 カプコンで23年間もゲーム作りをしていたので、これを活かしながら、これまでできなかったこと、やれなかったことを考えていけるといいなと思っています. それと、これはカプコン時代もできるだけやってきましたが、コンセプトという会社は、自分がコンセプトを生み出して、それを実現していくためのスタッフを集めるというところから始まっているので、オリジナルタイトルを立ち上げることも重視したいですね. ――コンセプトが稲船さんの"コンセプター"としてのアイデアを扱うところで、インターセプトがそれを形にする会社ということでよろしいでしょうか. 稲船 コンセプトで形にすることもありますよ. とくにソーシャルゲームなどはそうです. 事業を賢くやっていくために、さまざまな効率を考えてこういった形になっています. ――スタッフはどれぐらいいるのですか? 稲船 合わせて20人強です. いまやっている仕事からするとちょっと足りないのですが、できるだけ30人は超えたくないんです. コンセプトをちゃんと伝えなければいけないですから、規模が大きくなると違うものになっていってしまう. でも、30人で大手メーカーと戦いたいし、戦えると思っています. ――複数ラインを動かすとなると、実際の制作は外部のスタジオにお願いする形も考えられますが、外部スタジオの利用などは? 稲船 いまも全部そうですよ. これまでも、外部のパートナーといい関係を築けば、内部だけでやるよりもいい仕事ができることを証明してきたつもりです. ――そのためにも、コンセプトがしっかりすることが大事だということでしょうか? 稲船 そうです. 丸投げではなく、一緒にやっていくということを大事にしています. たとえば、ただ「敵のイラストを描いて」と依頼して「コレはダメ」と言うのではなく、根本の考えを話してから、あがってきたものに対して「これはコンセプトに合っていないよね」と話をしていく. そのためにはコンセプトを言い続けないといけないんです. 子どもに向けてゲームを作る、原点へのチャレンジ ――そういった中で、先日ふたつのタイトルが発表されました. まずは『 海王 』について聞かせて下さい. 稲船 いま、子ども向けのタイトルは、重要なのはわかっていても、なかなか予算が付かなかったりする. でも、子供のころに遊んだゲームは忘れない. それがゲーム業界を支えていくんです. 『 ロックマン 』の時は、自分が若かったこともあって、自然に子ども向けに作れていた. もう一度子どもに対して素直にゲームを作りたいと思って立ち上げました. ――著書にも書かれていましたが、ゲーム業界の将来を考えると、そこに種をまいたほうがいいということですね. 稲船 偽善的に取られるかもしれませんが、業界がよくならないのにお金が入ってくるわけもないので. だから、業界をよくするという努力をひとりひとりやっていくことが必要で、みんなやらないからやらないというのではいけないだろうと思うんですよね. 幸い名前もありますし、動ける立場になったので、今日も大学で講義をしてきたんです. なぜやるかというと、自分がやってきた経験をちょっとでも若い世代に伝える、そのことでちょっとでもゲーム業界に興味を持って、ゲームを作りたいという人がひとりでも出てくると、ゲーム業界はよくなっていくんじゃないか. いいゲームを作っていくだけじゃなくて、人材育成というのも大切ですよね. 学生に本場に触れてもらって、自信につながるといいなと思って、稲船塾というのもやっています. ――ちなみに、『 海王 』が動き出したのはいつごろですか? 稲船 本格的に動き出したのは5月、6月ですね. 30人で大手のゲームメーカーと同じ事をやって勝てるわけがないですから、スピード感も大事にしているところです. すべてのスピードを上げられるわけじゃないですが、たとえば判断のスピードは上げられますよね. 普通なら会議などで判断に3日かかるのを、自分が見て「オッケー! 」と判断すれば、何倍のスピードにもなる. 外部の人にも頼らなければいけない部分があるので、そうなると大手ではできないスピードを出していきたい. ――三国志や海賊といったキーとなるテーマは当初から固まっていたのですか? 稲船 もちろんです. でも海賊をベースにしながら違ったことをやらなければいけないと思っていました. そこで三国志という話はとてもおもしろいし、キャラクターの個性もすごいので、ふたつを組み合わせ、かつ子ども向けにするために、世界観やキャラクターデザインなどをああいった形にしています. ――どういうゲームになるのですか? 稲船 海賊船は、カードゲームのデッキに近いものだと思っているんです. どういう船団を組んで、どう動かすか. そういったシミュレーション要素もありつつ、船に乗り込んだらガンガンアクションできます. 誰を乗せるかで動きも変わりますよね. 操船が得意な武将なら海戦は有利だけど、船に乗り込まれたら辛い. 逆に張飛のような人だと、強いけど酒ばかり飲んで働かないとか(笑). 海賊や三国志のイメージに縛られず、自由度が高いアクションゲームが作れると思っています. ――ペンギンのキャラクターが中心的に描かれていましたが、彼が主人公ですか? 稲船 あれは劉備をイメージしたキャラクターなのですが、じつは主人公は別にいて、その主人公が(前述のキャラクターを含めた)どの勢力についていくかを選んで進めていきます. また、キャラクターは接しかたによって反応が変わります. ただ能力が高いキャラクターがいいのではなく、たとえば張飛呂布を一緒に乗せたら大変なことになる. でも、うまくやれば何かできるかもしれない. 子ども向けだからと手を抜かずに、心の部分をちゃんと描き、人を左右するのは人間の感情なんだということを伝えたいんです. スマートフォン時代の横スクロールアクションを完成させる ――『 J.J.ROCKETS(仮) 』についてもどういったゲームになるのかお聞かせください. 稲船 「相手は稲船敬二に何を求めているのか? 」ということをいつも気にしているんですが、スーパークリエイターズという括りでお話を頂いているからには、普通のソーシャルゲームは望んでいないと思ったんです. たとえば稲船敬二には横スクロールアクションというイメージがある. 海外でも『 ロックマン 』は人気がありますから、海外で売れるソーシャルゲームが作れるかもしれない. でも、スマートフォンのタッチパネルで普通にアクションゲームを作っても、ゲーム機と同じ体験ができるわけがない. いまも画面に合わせてタッチしてアクションしているように思えるゲームはありますが、そういったものでも、擬似ボタンを置いてマニュアル操作をするわけでもないものを目指しています. 横スクロールアクションという要素を再度自分で消化して、スマートフォンでの横スクロールアクションを完成させるつもりです. ――簡略化された操作でもアクションゲームの醍醐味が味わえると. 稲船 そういうことです. 擬似ボタンでやってもマニア以外はやらないし、これ(タッチしてやった気になるだけ)ではマニアはやらない. これはチャレンジです. 「やれる」とは言わないですが、「やれそう」という感触はつかんでいるのでスタートしました. 苦労はすると思いますが、やりきります. ――ちなみにソーシャル要素は? 稲船 もちろんありますが、部品を取った取られたといったものではないですよ(笑). 人が何をやっているかとかが気になるようなゲーム性を用意しています. コンセプトを貫けるものをこれからも手掛けていく ――ソーシャルだけをやるとか家庭用ゲーム機だけをやるとかではないわけですね. コアなゲームについてはどうでしょうか? 稲船 僕がコンセプトという会社を立ち上げたのは、「続編をやります」というのではなく、「オリジナルのコンセプトを立ち上げます」というのが理由なので、どこと話しても「オリジナルゲームで、勝負できますか? 」と言うようにしているんです. そういった中で、ソーシャルゲームではそれが当たり前ですから、家庭用ゲーム機よりも受け入れられやすいというのは確かにあります. でも、ずっと家庭用ゲーム機でやってきましたから、自分のコンセプトを貫けるのであれば、やっぱりやりたいですよね. なので、家庭用ゲーム機向けのコアなゲームについても、当然やらなければいけないと思っていますし、実際にやっていますよ. いずれ発表できると思います. ――最後に、読者にメッセージを. 稲船 これからコンセプトの稲船としてのチャレンジをどう見てくれるのか、とても楽しみですね. 読者の皆さんの期待には必ず応えますので、よろしくお願いします! (C)2011 MarvelousAQL/KI/comcept/intercept. 絶対欲しいアイテムが31本分! 2012年7月25日に、ファミ通GREE Vol.4が発売. 今月号も攻略情報や最新情報など、GREEに関するお役立ち記事を満載でお届け. 『 FIFA ワールドクラスサッカー 』や『 ドラゴンコレクション 』など、人気タイトルの便利なアイテムが31本も付いているぞ. また、ファミ通GREE連動の2周年記念キャンページでギガレアカードを配布予定の『 海賊王国コロンブス 』の記事も必見. そのほか、ソーシャルゲームにまつわるアレコレを研究した特集や、全世界対応となって進化したGREE Platformに関する特集など、特別企画の読み物も要チェックだ. 現在、エンターブレインの通販サイト "ebten(エビテン)" や Amazon.co.jp などで予約受付中なので、ぜひチェックしてみてほしい. ※ebten(エビテン)での購入はこちら ※Amazon.co.jpでの購入はこちら 本誌コラボイベント&限定アバター&先行登場アイテムと、内容盛りだくさん! ファミ通GREE限定先行登場"ヌボビタンEX". アソビズムのリアルタイムバトル第1弾『 ドラゴンリーグ 』. 全国のプレイヤーとともに騎士団を結成し、"ドラゴンリーグ"に参戦してドラゴン討伐を目指すチームバトルRPGだ. 今号では、本誌とのコラボイベントを実施! チビドラをたくさん討伐して、豪華なアイテムを手に入れよう. 袋とじアイテムは、本誌で初登場となる、修行の効果×3倍になる新アイテム"ヌボビタンEX"や、本誌限定アバター装備の"水着3点セット"をプレゼント. 誌面では、本作の基本や、リーグ戦で勝つためのポイントを紹介しているぞ. マニア垂涎!? の、スクール水着(旧型仕様)アバターセット. サイト"ファミ通GREE"がオープン! GREEタイトルの最新情報や攻略情報は、ファミ通GREEサイトでチェック!! ここでしか手に入らないお得なプレゼントもあるぞ. 編集者のオススメタイトル紹介や、つぶやきなど、脱力系企画も!? ※ファミ通GREEへのアクセスはこちら (フィーチャーフォンスマートフォン両用) (C)2012 Asobism,co.ltd. All Rights Reserved. 限られた物資のなかで生き延びるサバイバルアクション Naughty Dog Community Strategist Arne Meyer氏 2013年に発売が予定されているソニーコンピューターエンタテインメントジャパンのプレイステーション3用ソフト『 The Last of Us(ラスト・オブ・アス) 』. 2012年9月24日に行われたプレミアムセッション( プレミアムセッションの記事はコチラ )にて、ゲームの開発元であるNaughty DogのCommunity StrategistであるArne Meyer氏にお話を伺った. ――『 アンチャーテッド 』シリーズで成功を収めたNaughty Dogですが、今回新しいジャンル"サバイバルアクション"にチャレンジした理由は? Arne 『 アンチャーテッド 』シリーズでは、銃を使って戦うアクションが中心でしたが、『 The Last of Us(ラスト・オブ・アス) 』では、崩壊した世界に残された物資を駆使して生き延びる、リアリティー溢れる世界を表現しようとしています. プレイヤーにスリルを感じてほしかったからです. ――先ほどのプレゼンテーションで、Arne氏が「Naughty Dogが目指すのは、"説得力"があるアクションゲーム」とおっしゃっていましたが、Naughty Dogが考える説得力とは? Arne 『 アンチャーテッド 』シリーズでも、歴史的出来事に基づいて物語を描いています. 『 The Last of Us(ラスト・オブ・アス) 』も同じように自然の生態系などをリアルに追求して世界観を構築しています. また、プレイヤーキャラクターは特別な超能力をもっておらず、生身の人間とほぼ同じ身体能力です. それがここで言う説得力ですね. 本作では、キャラクターのモーションやムービーシーン、音声に関しても、すべて等身大のリアルなものにこだわっているので、じつに本格的なサバイバルが体験できると思います. ――リアルな描写とゲームの娯楽性はバランスを取るのが難しかったのでは? Arne そうですね. ゲームなので、ある程度自由に行動できるように作っていますが、プレイヤーキャラクターが超人的な能力にならないように気を付けています. ――デモプレイを見たところ、本作ではザコ敵をひとり倒すためにもすごく時間がかかりますよね. リアルなサバイバル描写にはとても期待しているのですが、その分ゲームの難度が高いのではないかと心配でもあります. Arne おっしゃる通り、戦闘が長びくこともあります. 主人公が持ち運べる銃弾の数に制約があったり、殴り合いでもちょうど勝てるか勝てないかのギリギリのバランスにすることで緊張感を高めています. とはいえ、ゲームが難しすぎてクリアーできないということではありません. ――プレイヤーの腕前に応じて難度選択はできるのでしょうか? Arne はい. いろいろな難度のモードを用意しています. ――なるほど. ところで、本作は従来のアクションゲームと比べるとAI(人工知能)が大幅に進化しているとのことですが、具体的な例を教えてもらえますか? Arne まずは敵のAIですが、きちんと状況を見て行動します. たとえばジョエルが銃を持っていて、敵が丸腰の場合、敵はジョエルの前から逃げだそうとします. しかし、逆の立場になると、積極的に攻めて来るのです. あとは敵の人数が多いほど、有利と判断して襲い掛かってくる傾向がありますね. つぎに味方のAIです. 本作では、ジョエルの後ろをパートナーの少女エリーがついてくるのですが、プレイヤーがエリーが敵に倒されないようにつねに心配することがないようにしています. エリーは隠れかたやアシストのやりかたを徐々に覚えていき、プレイヤーの負担にならないように行動します. ――キャラクターのパラメータがパワーアップする要素はないのでしょうか? Arne ええ. 一般的なゲームのようなパワーアップ要素はありません. 本作ではパワーアップできない分、身の回りにあるものを利用して戦うことが重要になります. ――それと気になるのが謎の寄生菌に感染した人間"Infected"です. この世界ではInfectedはどれほど猛威を奮っているのでしょうか? Arne Infectedの数がどれくらいで、どれほどの勢力を持っているか、ゲーム中は触れられることはありません. パンデミック後の崩壊した世界では、交通網が麻痺しており、コミュニケーションが分断されているのですが、Infectedという存在は人々に恐怖の対象として映っています. この時代の人間は、つねに感染の恐怖に怯えているのです. ――Infectedとの戦いは、生存者との戦いよりも激しいものとなるのでしょうか? Arne 現時点でお伝えできることは少ないのですが、ゲーム中にInfectedと遭遇することもあります. 彼らは人間の生き残りとは比較にならないほどの強さを持っているので、出くわしたら逃げることをおススメします. ――日本では、『 バイオハザード 』シリーズを始めとするサバイバルホラーというジャンルが数多く存在します. これらのゲームからインスピレーションを受けたのでしょうか. Arne いえ、どちらかというと既存のゲームよりも、映画からインスピレーションを受けていますね. たとえば、映画『 ノーカントリー 』やテレビドラマ『 ウォーキングデッド 』などの作品がそうです. ――先ほどのプレゼンテーションでもそうでしたが、いつも『 ノーカントリー 』がいちばん先頭に挙げられますが、この作品のどこに影響を受けたのでしょうか? Arne ふたつのポイントがあります. ひとつめは映画中に音楽がほとんどなく緊迫感に満ちているところ. 『 The Last of Us(ラスト・オブ・アス) 』では、ほとんどの場所で音楽が使われていません. 限られた物資の中でサバイバルをするゲームなので、音楽で盛り上げるのは最低限にしています. ふたつめは、追う側で追われる側の駆け引きを描いたところです. 『 The Last of Us(ラスト・オブ・アス) 』の制作にあたって『 ノーカントリー 』で追われる側の緊迫感を参考にしています. ――これから発売までの期間、本作のどんなところに注目すればよいでしょうか? Arne ゲームの内容がネタバレにならない程度にはどんどん情報を出していくつもりです(笑). 皆さんが気になっているInfectedを始め、未来の世界の環境、味方や敵になる人物といった情報を惜しまずに出していきたいと思います. ご期待ください. 教員免職条項は削除 大阪府の教育条例案固